藤堂は、悩んでいた。



自分が新選組を抜ける事で、皆に何らかの変化が起きてしまうのではないか。


これから先、口も聞いて貰えなくなるのではないか。

彼女に失望されてしまうのではないか、と。





「………、」



伊東を新選組に誘致したのは自分であるし、断る事ができないのはわかっている。

けれど、長年背中を預けた仲間のもとを去るのはどうしても忍びなかった。








慶応三年、春。






「馬鹿だよなー、俺も……」




藤堂の足は、無意識に稽古場へ向いていた。






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