本当にすみません。


そう言おうとした唇を、斎藤の指が止めた。




「それ以上、言うな」



たったそれだけ。

なのに、何よりも暖かい。




「ですがっ……、いえ。お気遣い、ありがとうございます」



「ああ。…では、そろそろ出発するか」



「はい」





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