流華の楔






その頃。
佐上と共に城下へと来ていた和早はというと――






「っくしゅん!」



「大丈夫ですか、新崎様?」


「ええ。誰かが噂してるだけ」


珍しくもない事だよ、と軽く鼻をさする。

自分を妬む者は少なくない。
その類だろうと思った。




「ところで佐上…」


「はい」


「私に用とはなんだ?」


「あ…」



佐上の足が止まる。
見れば、佐上の顔は曇り気味。


どうしたものかと考え、和早は佐上の手をとった。




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