長州にいる可能性がある。
そんな理由で疑ってはならないとは思うのだけれど。
安堵よりも、彼女が長州と関係があるのだろうかという疑いが先にきてしまう。
「…最低だ」
以前も、自分の気持ちを理不尽に押し付けた事があった。
好きでもなかったのに。
彼女が“彼女”に似ていたから。
そんな理由で。
しかもまだ謝っていない。
もう、自嘲しかできなかった。
「本当、最低だな…」
繰り返す。
繰り返さないと、今の気持ちを割り切れない。
「………、」
好きなのだろうか。
“彼女”ではなく、新崎和早そのものが。
嗚呼、そうだ。
だからこんなに必死で彼女を探そうとしているのだ。
「俺は、好きだったのかも、しれない…」
強く、美しく、気高い和早。
土方と一緒にいるところを見れば胸に痛みを覚え。
幹部との何気ない会話すら遮りたくなる衝動に駆られた。
あれは、明確な嫉妬。
“彼女”の記憶を捨て、和早自身を求めていたという証拠。
