流華の楔







「知ったら後悔するかもしれませんよ」



伊東が静かに言った。




「…っ、構いません」



それでもいい。
知らないよりは、随分マシだ。


とにかく情報が欲しい。






どきん、
どきん、









「……新崎君は、長州にいるようです」



「は?」



息が、
呼吸ができない。






「彼は、萩城城下で何らかの行動をとっていたそうです。目的は定かではありませんけどね」



「城下…?」



「ええ。身分の高そうな男と歩いていたそうですよ?」


「…男?」




信頼性はないから気にしない方がいい、と。


伊東はそれだけ言って近藤のもとへ戻っていった。






「気にしない、とか。無理に決まってるじゃないですか…」




斎藤は、伊東の後ろ姿にぽつりと呟いた。



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