その生徒を見た瞬間、他の生徒の事が見えなくなるくらい、俺はそいつに惹かれてしまった。

普通の人間ならば、どこにでもいる女子生徒と思うだろう。
でも俺にはどうしてもそんな風には見えなかった。

明るい茶色の髪は、胸あたりまで伸びていた。
しばったりせず、ゆるく巻いてある。
制服も上手く着崩していた。
化粧もバッチリで、すごく似合ってる…。

俺はしばらくそいつに見とれていた。
なんと言っても俺の超好みの女だったのだ。

そいつが一瞬こっちを向いた気がして、俺は慌てて目を逸らした。
そしてHRを始める事にした。

「さっきも言ったが、俺はこのクラスの担任で倉智仁と言う。今から1人ずつ自己紹介してもらうから、一番窓側の生徒から始めてくれ」

俺が言うと、端に座っていた生徒が立って自己紹介を始めた。

でも俺はそいつの話なんてろくに聞いていなかった。
俺は…見ていた。
あの女を見ていた…。