黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】



結局学校が終わるまで自習で、今日は屋上で暇潰しはなかった。


「結奈、もう純来てるよ!!」


見ると教室の前に純の姿が……


「あ、ほんとだ。じゃあね、玲奈」


あたしは玲奈に手を振り、教室を出ようとした。


「ねぇ……どーゆーつもり?」


数倍低いまりの声。


「なにが?」

「広場」

「あたし、もう広場行かないことにした。もう飽きたの」

「ごめんね、中島さん。もうこいつ、俺の所有物なんだ」


突然純があたしを引っ張って、抱き寄せた。