黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】



─ガチャッ


玄関を開けると、珍しくこの時間帯にリビングの電気がついている。


「──あんなこと言うからこんな時間になっても帰って来ないんだ!!」

「……でも、可哀想じゃない!!」


どうやらお父さんとお姉ちゃんが喧嘩しているようだ。

それと啜り泣く声が聞こえる。


……お母さんなんで泣いてるの?


こっそり覗くとお母さんはキッチンで泣いてる。


「あんなヤツの子だからこうなったんだよ!!いくら母親がおまえであってもな、父親があんなヤンキーだから何もできない恥をかくような娘に育ってちまったんだ!!」


……………


あたしは手に持っていたカバンをぽとっと落としてしまった。


それに気付いたお母さん、そしてお姉ちゃんがあたしを見る。


「……結奈」


お姉ちゃんは動揺していた。


お父さんはあたしに一切視線を向けず、俯いていたままだ。


あぁ……なんて神様は意地悪なんだろう……

どうしてあたしはこうなってしまうのだろう……