黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】



急に静まりかえった店内に、玲奈のせーのという言葉が響いた。


『Happy birthday!!結奈♪』


──パン、パンパンパンパン


クラッカーの音と共に電気がつき、さっきまでなんにもなかったテーブルにはカレーに『Happy birthday結奈』とチョコペンで書いてある誕生日ケーキ。


そっか……あたし、今日誕生日だったんだ……


「すっかり忘れてただろ」

「……うん、忘れてた//」


耳元で囁かれたので、あたしの体温は一気に上昇。


「ほらそこ、イチャイチャすんな//」


裕也はちょっぴり顔を赤らめて言う。


自分で言って照れるなし。