黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】



緑で統一されたお姉ちゃんの部屋はさっきまで勉強していたらしく、たくさんの資料が散らばっていた。


「論文書かなきゃいけなくて」そう言いながらお姉ちゃんは資料を片付け始める。


──あたしとお姉ちゃんは違う


そんな言葉があたしを支配する。


テストがあれば、あたしとお姉ちゃんはいつも比べられた。


勉強よりあたしは運動と音楽ができたのにも関わらず……
親には勉強以外ができたって意味ないと言われる。


小学生の時は、そんなこと一切なかった。

でも……中学生になって、勉強についていけないあたしに親は呆れた目で見ていた。


あたしはそれが嫌だった。

だから見てみぬふりしてたんだ。