黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】



「……龍神?」


男も動揺している。


「そうよ。今日は龍神のとてつもなく強い娘達を連れて来たの。今日のためにね」


京香の最後の一言は、怒りを隠しきれないほどの低い声だった。


相当怒ってるな、こりゃ。


「ま、いい。やれ」


男の声とともに女2人があたしに向かってきた。


うっわー来た来た。

2対1とかひどくない?

せこいな。


でも……こないだの店長さんのヤンキーより弱いかも。


そんなことを考えながらパンチを交わし、蹴りを入れ……


見事に失神。


あたし、すごくないか?
喧嘩したことなんかないのに。