黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】



「おめぇは反射神経なさすぎなんだよ」

「仕方ないでしょ、寝不足なんだから」


純と玲奈が睨み合う。


どんだけ仲悪いの……この2人。


「んで、拓磨は玲奈たちの後を追ったのか?」

「あぁ」


なんてぶっきらぼうに答えるんだか、こいつ。


あたしはチラッと拓磨を見ると、なぜか目が合った。


え……なに?あたし?


「んで、拓磨に連絡もらって俺らが行ったってワケか」


健がぼそっと呟く。


「なるほど。桜山の手口は悪質だな。女の子にまでおもいっきり殴るなんて……」


そう流星が言うと、純は笑いながら「いや、こいつ女に見えねぇから仕方ねぇよ」と失礼なことをぽろりと言う。


あーあ、また睨み合いじゃんか……