「おいっ結奈来るんじゃねぇ!!」
純の言葉も耳に入らず、あたしは高峰亜蘭に殴りかかっていた。
でも……
「甘いな、結〜奈ちゃんっ♪」
あたしのパンチは高峰亜蘭の手によって掴まれた。
『相手の隙を狙うんだ』
この言葉があたしの脳裏に浮かぶ。
「あたし、甘いのかな〜?」
そう言って、掴まれていない手で高峰亜蘭の腹を思いっきり殴り、そしてあたしの手を離した瞬間に顔面を殴った。
高峰亜蘭は地面に膝をついて耐えているよう。
「ねぇ、聞いてるじゃん。あたし、甘いのかな〜?って」
あたしの声はかなり低かったと思う。

