謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

次の日の朝。
梅雨があけて夏の気候だった。
朝から気温が高く蒸し暑い。

拓也は、木村のオフィスに来ている。
オフィスは雑居ビルの中にある。

ビルの中には、数件の飲食店がある。
その中の一室が木村のオフィスだった。

扉の前にいたが鍵が掛かっている。
どうやら木村は、まだ出勤していない様子だった。

拓也がビルから出てくると、出勤してきた木村とバッタリ会った。

「あっ!」
木村が驚いたように拓也を見る。

「・・・・・・おはようございます」
とっさに現れた木村を見て、何を言ったらいいのかわからず、拓也は挨拶をする。

「ひょっとしたら、秋田さん・・・・・・・うちで働いてみようという気持ちになって、ここに来たんですか? 」
木村が、笑顔で拓也の心を探るように聞いた。

「いや・・・・・・まあ、どんな仕事なんだろうかと思って、もう一度話だけでも聞いてみようかっと思ったんだ」
拓也は、素直に働きたいことは言わなかった。

「そうですか。それだったら中に入って話を聞いて下さい」
木村は、拓也をオフィスへと案内した。