謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

「リカさんが仕事を受けてもらって、本当に助かりました」
木村が感謝するように喜んで言った。

リカはバッグから煙草を取り出して、「お礼を言うのは、私のほうです」
と言って、煙草に火をつけた。

「そうだ・・・・・・」
木村が思い出したように席を立ち上がり、デスクの引き出しを開ける。

「失業中だった私に仕事をお世話してくれて、すごく感謝しています」
リカは煙草の煙を吐き出した後、しみじみと言った。

「僕の目は正しかった。君をハローワークの前でスカウトをしたのは・・・・・・・」
再び木村は、リカの前に座って満足そうに言った。

「これからも仕事の依頼がありましたら、よろしくお願いします。それで・・・・・・これはあなたの名刺です」

「こちらこそ、よろしく御願いします」
リカは煙草を灰皿にもみ消して、両手で名刺を受け取った。

名刺には『廃業屋　リカ』と書いてあった。