謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

「それから、これは私からあなたへのアドバイスです」
席を立つ拓也を、専務が声をかけた。

「何ですか? 」
拓也は振り返った。

「もしも、あなたが我が社の謝罪の仕事をして、緑山君が解雇されたことを気の毒に思って、私のところに訪ねてきたなら、あなたは仕事のプロではない」
専務は批判的に言った。

「どういうことですか? 」
拓也は少しムッとした。

「仕事というのは、時には酷なことをすることがあります。あなたの謝罪の仕事も時には誰かを泣かせることもあるかもしれません。それを、いちいち詮索していては、仕事はできないと、私は思います」

「・・・・・・」

拓也は、一生懸命仕事をして生きている人間を、簡単に切り捨てる会社の人間の言うことなど聞き入れたくはなかった。
だが、専務の言葉には強い意志を感じた。
そのため、何も言えずそのまま客室を出た。