謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

「えっ！　『サンバ製菓』に勤めていたの？　」
拓也は真顔で驚いた。

「私、そこの営業企画部門にいたんです。以前に食品偽装で問題になった会社なんですけど、知っています？　」
リカは、グラスを手にしてウイスキーの水割りを作りながら尋ねた。


「うん・・・・・・まあ・・・・・・」
拓也は、動揺をかくしながら、どっちつかずの返事をした。

「それで、なんで辞めたの？　」
「解雇されたんです」
リカは、水割りを拓也に差し出しながら答えた。

「解雇って・・・・・・？　」
拓也は、グラスを手にして興味深く尋ねた。


「食品偽装の問題があって、業績が悪化したため経費削減でね・・・・・・」
リカは、作り笑いで言った。

「そうだったの・・・・・・」
拓也は、リカのことが自分が関わった仕事に影響している人間だと思い気の毒に思った。