謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

ビルの三十五階にある客間から見える景色は、高層ビルしか見えない味気ない景色だった。

待っ間プレッシャーを感じ始めた拓也には、深呼吸を何度もした。
自分の心を落ち着かせるためである。

記者会見も十五分前になる。
急に客間のドアが開いた。

専務と一緒に白髪でオールバック姿の貫禄がある男が入ってきた。
専務から社長を紹介された。

社長が拓也に握手を求めた。

拓也は社長と握手を交わした。
手の皮は厚く力強い感覚だった。
目を見ると少し強張るような感じを受けた。

三人は、時間まで記者会見の打ち合わせをした。
拓也が、記者席に着いてから謝罪するまでの段取りを決めた。