謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

拓也は、秋の夕暮れの町を歩いている。
どこか肌寒さを感じる。

通り行く人々は、長袖を身にまとっている。
季節が変わってゆくことを感じる。

拓也は、仕事の依頼を受けるため木村のオフィスにやって来た。

「また、子供のケンカの謝罪ですか？　」
木村から渡された依頼書を見た拓也は、不服そうな顔をして言った。

「どうかしました？　」
拓也が気にかけた。

「こう言ったら、悪いかもしれないけれど、小さい依頼ばかりで、もっと大きな仕事はないんですか？　」
拓也は不満そうに言う。

「謝罪する仕事に大きいも小さいもありませんよ」
木村は、キッパリ言い切った。

「そりゃ、そうかもしれないけれど、もっと大きな仕事したいんですよ。ニュースなんかでやっているような事件の謝罪なんか」
拓也は、ねだるように言った。

「それで、ここ三件ほどあった依頼も拒んでいたんですか？　」
木村が納得するように聞いた。