ベッドの上に膝を立てて座りながら、ペンダントを握り締めていた。



部屋には、静かなピアノの曲がかかっている。




幻想即興曲。




莉玖があの晩、弾いていたショパンの曲。




CDの演奏も素晴らしいけど……私はやっぱり莉玖の音が好きだ。




静かなのに情熱的で、真っ直ぐで心に響く柔らかい音。




彼のしなやかな細くて長い指を思い出していた。



鍵盤を流れるように動く、あの指にで触られると体が痺れた。




ピアノは莉玖そのものだ。






また……聴けるのかな……。






莉玖はもう一週間も学校に来ていない。




もしかしたら、このまま、辞めてしまうかもしれないと、卓真が言っていた。





莉玖にもらった四葉のクローバーを目の前で揺らした。