慧人が、ゆっくりと瞳を閉じる。



「一旦、離れようって言ってるの」




サラサラの茶色の髪、少しタレた瞳のハーフみたいな顔立ち。


見上げる程の高身長なのに、顔は小さくて。


好きとか愛してるとか特別な言葉は無かったけど、抱きしめてくれた肩は広くて力強くて温かかったのに。




「意味……わかんない」


と口を尖らせた。



私だって、一生懸命努力してきた。


慧人の横に並んでも見劣りしないように。


お似合いのカップルって言われるように。


手抜きしないで、みんなから『お似合い』って言われてきたのに。



なんで?と眉を吊り上げる。




「元々、付き合おうって始まった仲じゃないしさ。だから、別れようってのも変かなって」



「私の事、嫌いになったの?」



それなら、まだ諦めがつく。



嫌い。嫌だ。って言われたら仕方ないケド。