卓真は同じ学年だけど、2浪しているから2歳年上だ。



みんなでいると、やっぱりお兄さん的存在だった。



「んー、別にいいよ。もう、慧人なんてどーでもいいや」



もうすぐ10月だというのに、セミが夏を名残惜しそうに鳴いている。



これから年末に向けてイベントシーズン。



私は、初めて慧人と違うクリスマスを過ごす。





「そう言えば、莉玖、アルバイト始めたんだって?」



「うん。レストランで、ピアノの演奏してるんだよね」



「なんか、格式高いって感じだね」



「あいつはお坊ちゃんだしなー」



「私は付き合うまで知らなかったよ。莉玖ってあまり自分の事話さなかったし」



「お前達が、ぎゃーぴー話すから男性陣は自分の事を話す時間がないの」


「「えー、私達のせい?」」


と、杏奈と二人で顔を見合わせた。




「お前達は、こーんな良い男の聞き役が居て幸せ者だな」



「良い男かどうかは置いておいて、聞き役って大事だよね」


と、杏奈がニッコリ。