「何してるの?」 扉を掌でなぞってみる私に仁美が不思議そうに問い掛けた。 「ううん、何でもないわ」 「そっか?…はい、手」 彼は私に手を差し出し、指を絡める。 その瞬間に溢れんばかりの幸せを感じる。 手を絡める時。 唇を重ねる時。 躯を重ねる時。 ただ、彼の傍に居られる時。 幸せが見える。