チッ…チッ…チッ…チッ…
時計の秒針が時を刻む音、それだけが私の部屋に響いていた。
何もしないで大人しく終わるなんて、そんなの私じゃない。
それはもう知ってる。
ただ、何て言えばいいの?
人の気持ちをそう簡単には動かせない事なんて言われなくたって解ってる。
だから、私は動けない。
仁美君の気持ちを知ってしまった以上、その気持ちを私が変える術はないに等しい。
南の言葉を忘れそうになる自分。
「…やるしかないかしら」
決意を口にしても、動かない躯。
もどかしい。
南の部屋(トコロ)を出てから私はずっと思い悩んでいた。


