「…久しぶりで…悪い。無茶したな…」
健吾の胸の上でまどろんでいると、私の髪をすきながら謝る声。
「大丈夫。もう…愛し合ってもいいって友美先生にも言われたから…」
言葉自体が恥ずかしくて、健吾の胸に顔を埋めながらそう囁くと、急に体が回って。
目の前には健吾の顔と、まだ新しい真っ白な天井。
私の上に覆い被さる健吾の瞳は潤んで揺れていて。
それは、愛し合ったばかりっていうだけが理由じゃなさそうに私を見つめてる。
「柚をまた抱けるなんて…は…なんか一生分の運を使い果たした気分だ」
「…ふふっ。私は何回もそういう気持ち味わってきた…。
事故に遭って助かった時とか健吾に再会して…愛してもらえた時とか…妊娠した時もだし…桜を無事に産んだ時も…」
健吾の頬を確かめるように触れながら、思い返すと。
本当に、いくつの幸運を私は使いながら生きてきたんだろうって思う。

