どうにか平和にこの場を離れようと考えるが そんな事なかなか思いつかない。
猿顔の男はひたすら純を睨み付ける。
もう一人の眉毛がない男も同じように純を睨んでいた
いつ喧嘩が始まってもおかしくない。
と、眉毛がない男の態度が急に変わった。
その目は何かを思い出したように ゆるゆると怒りの色を冷ましていく。
純はその一瞬の変化を見逃さなかったらしい
「あんた、俺の事知ってんだろ」
眉なし男を見つめ、悪そうに口角を上げる純。
そんな態度に 彼はビクッとし、猿顔男を引きずるようにして その場からそそくさと立ち去った。
そんな二人を見つめたまま 純は小さく呟いた。
「大丈夫か」
「あ…うん」
何だか 唖然としてしまった。
相手があんなに殺気立ってたのに、純の事を知っていたと言うだけで
急に尻尾を巻いて逃げるものなの?
純は そんなに恐れられる程悪い事をしてきたの?
知りたいようで 知りたくない。
知ってしまえば 今までよりも純が違って見えるかもしれない
だって私は 優しい純しか知らないんだもん。

