「待てよ」
ふいに響いた、制止の声。
私は固く閉じていた目をそろそろと開ける。
「あんた、俺に用あんじゃねぇの」
今田里穂の手首を掴み、冷たく彼女を見下ろす純。
…うそ、なんで純が居るの
「3対1って、卑怯だろ」
今田里穂の手首を離し、蔑むような純の瞳。
彼女達三人は どうしていいのか分からず、ただ固まって純を見上げていた。
「文句あるなら俺に言えよ。亜紀は関係ねぇ」
凛とした純の態度に 今田里穂はバツ悪そうに逃げ出した。
「里穂…っ」
あとのニ人も続いて走り出す。
だんだんと彼女達の足音が消えていく
そこに残った純と私に 訪れる無音の時間。
見つかってしまった…
あれだけ隠し通してきたのに よりによって今田里穂達に直接言われているところを見られた。
もう 言い訳なんて出来ない。
純は どんな顔をしているだろう
迷惑そうに眉をひそめているのか、
可哀相だと私を蔑んでいるのか…
そんな事を考えると とても顔なんて上げられない。

