「俺も親とは仲悪いから」
全て話し終えた私に
青島純は言った。
その表情は
私にはすごく寂しそうに見えた
「でも、亜紀の親父は ちゃんと話せば絶対分かってくれるよ」
亜紀 と呼ばれて、少しどきっとした
青島純にそう言われると どうしてだろう
大丈夫な気がしてくる。
「…青島くんも、何か悩んでる?」
聞いちゃいけない気もした。
でも、私は青島純に全てを打ち明けて
だいぶ楽になったから。
彼にも
そうなって欲しかった。
涙を拭いて 青島純に視線を向けると
彼は優しく微笑んだ。
「純でいいよ」
波音に包まれた声は
驚くほど
私の耳に響いた。
同時に 話をはぐらかされた、と思った。
この人は 私が抱える悩みよりも、もっと深くて重いものを背負ってる そんな気がした。

