冬休みも明け
学校が始まり、授業が始まる。



そこまではいつもと変わらないのに


変わったのは純がいない事だけ。



たったそれだけの事なのに

私には
純がいないこの世界は
色がなくなったみたいに見える。



何もかも灰色で、
輝きがなくて冷たくて。



大切な人がいないと
こんなに変わってしまうんだね…






「…亜紀」



窓の外をぼうっと見つめていると
いつの間にか隣にいたさくらが 私を心配そうに見ていた。


私は慌てて笑顔をつくる



「びっくりしたーっ どうしたの?もうすぐチャイム鳴っちゃうよ」



「…建斗から、聞いたよ…」



さくらがあまりに深刻そうな顔をするので
私も作り笑顔を崩して
ゆるゆると顔を戻した。



「亜紀…」


「…私は…大丈夫だよ…。ご飯も食べてるし…こうして学校にも来てるし…案外元気なんだよね」


はは、と空笑いする私に
さくらは 何も言わなかった。



沈黙する二人の間に
始業のチャイムが鳴り響く。



「さくらっ授業授業っ早く行かなきゃ」


さくらを急かすが
彼女は何を思ったのか 私の腕を掴んで
そのまま教室から出て行く。



「え、さくら どうしたのっ」


慌てる私に
さくらは一言。





「授業さぼるよ」