あたしは加賀君のなにをしっていたんだろう。 「霧澤さん。本番メイクしまーす。」 メイク担当に呼ばれてそっちに言った。 隣には加賀くんがいた。 「がんばろうな。」 そういって ニって笑ってくれた。 「うん。」 いよいよ開幕10分前。 うまく出来るかな。 自然と震えている手。 バクバクいっている心臓。 「エリ。」 「お兄ちゃん?!」 「緊張がほぐれるまで何回も呼ぶ。」 その言葉の通り何回も呼んでくれた。 私の名前を。