ほら、笑って笑って


「失礼します!」


必要以上に大きな声を出して、自分を奮い立たせながらドアを開け、社長室に入る。



何も言わない常務は、デスクで書類に目を通していた。



仕事に没頭してる…みたい?


よし!
書類置いて退室しちゃえ!


「…常務、こちらに渡辺課長から預かりました書類を」


”置いておきます”


そう続けようとした私の腕を、常務が掴む。


え!?

何、何??


「じょ…常務?!」


驚き過ぎて声も裏返ってしまう。



だけど、そんな私の様子を気にもしない(いや、むしろ楽しんでいるみたい?)常務は、私を見つめながら微笑む。



「優衣、会いたかった――」


って囁きながら。