「勝手に俺から距離を置こうと言ったくせに、振り回してごめん。」

私の目を真っ直ぐに見つめたまま隼人さんは囁く


「ワガママだけど、優衣が好きだ」

そうして、細く大きな手で私を引き寄せ抱き締めた

私もーー

「私も隼人さんが好き」

溢れる気持ちがそのまま言葉となって落ちる
隼人さんの体温に包まれている事が嬉しくて
背中に腕を回して隼人さんを抱き締める


「怖い思いさせてごめん。」
「ううん、大丈夫。マスターさんが助けてくれたから」

「そうだよな…あいつにはちゃんとお礼しないと。
とにかく、優衣がマスコミに追いかけられなくて良かったよ。」

「……」

あの時マスターさんが来てくれなかったら、私はあの人達に追いかけられていたのかな?

「とりあえずだけど、この前個展で会った編集長には相談した。」

「え?」

「俺は別に芸能人とかではないから、優衣の事もあえて公表とかしない方がいいだろうって。つまり、そこまでの話題性がないから、暫くすれば誰も気にしなくなる。」

「じゃあ優花さんの事とか、お母さんの事とか…」

「ああ!優衣のお母さんの話まではしてないから安心して。でも、俺から興味が逸れる様に別のスクープを発表してくれるらしいから、明日には状況が変わる。大丈夫だと思う。」