「……どうして?」



「お帰り、優衣。」



お父さんの後ろ、そこには隼人さんが立っていて。


私の思考回路はパニックに陥る。




「……どうして…」

「優衣、ご両親にも俺にも嘘をついて、
何処に行ってたの?」

連絡が取れないから心配したと、隼人さんは言葉を続けた。




隼人さんの瞳は真っ直ぐに私を捉え、
その冷静な表情からは感情が見えない。




でも、私が隼人さんにもお父さんとお母さんにも嘘をついて出掛けたのは紛れも無い事実で。


謝らなくちゃいけないけど、言葉が出ない。



だって、今日、

何処に行っていたかなんて

説明出来ない。




「隼人君、出来れば優衣を許してやって欲しい。」

「……お父さん…」




お父さんとお母さんは、私にも隼人さんにも申し訳なさそうな顔をして、

ソファへ座るようにように促す。




最後に移動しようとした私に

お母さんは消え入りそうな小さな声で呟いた。


「…今から全部、話すわね。」

「…え?」

「隼人さんは、全てを知る権利があると思うから」






……全部?隼人さんに?




待って、私まだ、心の準備が出来てない。

だけど言葉が出て来ない。

胸が締め付けられて、苦しくなる。