すっかり出来上がったらしいお父さんはコタツでイビキをかき始めた。


「…もう、お父さんたら。」


あきれてため息をつく私の横で、隼人さんはクスリと笑う。



「俺と同じで、お父さんも緊張していたんだろうね。」


「そうなんですか…?」


「そりゃあそうだろ。大事な娘が彼氏を連れて来るなんて、きっと気が気じゃなかったと思うよ?」



そう言って、私を見て微笑む。


でも、私だって、気が気じゃない。

こんな素敵な隼人さんが、私の彼氏ですなんて両親に頭を下げてくれて。


緊張もしたけど、それよりも、幸せな気持ちで一杯だ。



「そろそろ帰るよ。」

「はい。」



キッチンで片付けをしていたお母さんに声をかけ、玄関に向かう。



「またいらしてね。」

「はい。ありがとうございます。」


隼人さんはお母さんに頭を下げ我が家を後にした。





玄関のドアがしっかり閉まってから、お母さんは嬉しそうに微笑む。


「優衣、素敵な人見つけたわね。」

「うん♪」



緊張したけど、幸せな一日だった。