ほら、笑って笑って



「『――良かった、やっぱりここにいた。』」




え?


今、携帯から聞こえる声が後ろからも聞こえた?



慌てて振り返ると、


私に近づいてくる隼人さんが見えた。



目が合うと笑ってくれた。


そして隼人さんは歩きながら、意味の無くなった携帯を閉じる。


どんどん距離が近くなって、もうあと数メートル……。




「久しぶり、優衣ちゃん。」


ベンチに座る私を見下ろして、にっこり微笑む。


その笑顔を見ただけで、胸がキュンとしてしまう。


カラダは素直に反応を始めて、ドキドキ鼓動が早くなる。





「お久しぶり…です。」


やっと絞り出した言葉は、隼人さんの言葉を反芻しただけのありきたりな挨拶。


だけど、ただ言葉を交わせただけで、こんなにも嬉しくて仕方ない。



ああ、私はやっぱり隼人さんが好きなんだって、嫌になるくらい自覚してしまう。


隼人さんからすれば、迷惑な想いなのに。