冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「……ねぇ、紘夜はどうしてこんなケガしたの?
何をしているの !? 」


視線を合わせないからこそ、
聞けた、言葉。



でも、

「俺の詮索はするな。一生帰れなくなるぞ」



またその言葉を言って、紘夜は煙草を取り出し一本くわえた。


あの【BLACK DEVIL】




ああ……
まただ。



紘夜は、鈍色のライターで火を点けると、

甘い薫りが、舞い上がる。



また、この話はお終いの合図。