冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「大丈夫ですよ。一週間後には帰れます」

「……ホントに?」

「えぇ、紘夜様は約束を違えるような方ではありません」

「…信じてるんですね、紘夜のこと」

私は顔を上げ、真っすぐ、静音さんを見る。


「はい。信じております。紘夜様は立派なお方ですから」

真っすぐに、綺麗な目で静音さんは私を見る。



立派……。

でも、


人を殺したかもしれないんだよ?




その言葉を、私は飲み込んだ。