「昨日は、あまりに実織様が可愛らしくて、ついふざけてしまいました。お許しください」

「じゃ、じゃあ…、愛人とか、遊ばれて、ズドンとやられて、川に浮かぶとかは…」

「こちらのお屋敷は、立派な家系です。ここの主、紘夜様もきちんとした由緒正しき家柄のご子息でございます。何の心配もありません」


じゃあ、
じゃあ…私が見た、あの紅い光景は?


あの男は、
俺が殺ったと言っていた……。




あれは、
あれは夢じゃない。


だって、覚えてる。

掴まれた肩の痛みも、
目の前にひろがる、紅い光景も

雨の冷たさも


全部覚えてる。