でも、

構わず去る緋刃。


どうして?
抱き合っていた人、でしょう?



「実織!」

「紘夜!夕綺さんが、夕綺さんが!」


紘夜は、
私が抱える夕綺さんの頬に触れ、紅く染まった体のに視線を移すと、


スッと、
立ち上がり、


「ここで待ってろ。実織」


そう背を向けて、冷たい口調で告げた。



え?


夕綺さん、は?



緋刃を追うように、走り出す紘夜。


「行かないで!紘夜!」


行かないで、

独りで行かないでよ。



私を

おいていかないで



私を

独りにしないで