「実織!」


ふわりと

風に合わせて舞う、桜色のドレスの裾が
チラ、
と庭の樹々の間に見えて、

名を、叫んだ。


思わず、

叫んでしまった。




「へぇー、お前〝実織〟っていうのか」


馴染みのある、
嫌な声が、

俺の愛しい名を軽々しく呼んだ。


瞬間、

しまった!



そう思ったが、


遅かった。




樹々に隠れるように、


実織と
そして、そばに見える赤い髪。




緋刃が


いた。