冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「紘夜の大事にする女が、
どの程度なのか、試したの」


顎を少しあげ、
私を見下ろすような視線を向ける夕綺さん。


その表情は、緋刃に似ていた。



ゾクッと、した。


「た、めすって……?だって、紘夜を助けてくれたんじゃ……?」

飲まれそうな威圧感に耐えながら、わずかな望みを口にすると、



「助ける?まさか」

あははっ、
とおかしそうに笑い、

そして、



「あんなとこで紘夜が死んだら、誰が真影の闇を背負うのよ」

宿る、鋭い光。



「紘夜に死なれたら困るってだけ。
紘夜には真影の〝紅い闇〟をすべて消してもらわないと、面倒なのよ」


わずかな望みを打ち砕く、言葉。


背中を、冷たい汗が伝う。