冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

まだ2ヶ月。

でも、
色々な事があった。


怖くて震えた事
怒って大声を出した事
嬉しくて笑った事


雨の中で
この屋敷の中で


そのどれもが紘夜の事。



離れた時も、

紘夜の事ばかり考えていた。



「実織様、これからも紘夜様を頼みます」

優しく微笑み、そう告げる静音さん。


「実織様の笑顔で紘夜様を笑わせて下さい。
実織様の怒鳴り声で紘夜様を叱って下さい。

紘夜様とともに、幸せになって下さい」


そう言葉にする静音さんの声が、
震えたような気がした。


切なる想いが、願いが、
心に届く。


だから、


「はい」


一言だけ、
しっかりとそう答え、


静音さんの言葉を、

私は心に刻んだ。