冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


  †


「なんだか、こうして実織様と接する事が、とても久しぶりなような気がします」

私の髪を綺麗に結い上げてくれる静音さんが、
そう呟く。


鏡越しに見ると、
静音さんの表情はとても穏やかで、優しい笑顔だった。

そんな静音さんを見ると、
私も嬉しくなってしまう。


そういえば、

髪をはじめて結い上げてもらった時は、
嫌々というか、渋々、って感じだったっけ。


思い出し、
思わず笑いが零れた。


「いかがなさいました?髪型、どこかおかしいところがありました?」

少し慌てた様に、静音さんが私の髪を色々な角度から確認する。

「ううん、髪型がおかしくて笑ったんじゃないんです。
ちょっと、思い出しちゃって……」


懐かしい。

そんな時も、あったっけ。


でも、
数えると、そんなに前の事じゃない。


紘夜と会ったのは、10月末頃。

あれから、約2ヶ月。