冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

「聞いたら、教えてくれるの?」

「……そうだな、」

紘夜は少し考え、黒いジャケットから黒い煙草を取り出した。



「一つだけ今教えてやる。……さっきの封筒は〝兄〟からの呼び出しだ。
家紋の封がしてある時は、〝表〟の集まりがあるから出てこい、その呼び出しだ」


静かに、抑揚のない口調で淡々と紡ぐ言葉。
合わせるように、軽く煙草の箱を叩く、音。


「あとは、来週のパーティーに俺と一緒に出たら……
教えてやるよ」


そう言うと、
煙草に火を点けた。



黒い煙草が、

ジジ、
と、紅い火を点す。


甘い香りが、あたりを包む。



それは、
区切りの香り。



だから、
それ以上、私も何も聞かない。


来週、
その時を、


待とうと、決めた。