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「すぐ行くから、待ってろ!いいな!」


待ち続けた電話に、そう言い放ち、
俺はソファに置いたバイクのメットを掴み、

バンッ、

待ち続けた部屋のドアを思いきり開けた。

「きゃ、」

「おっと、悪い」

廊下に飛び出すと、
お茶の用意を持ったメイド姿の女性が、俺の胸元に飛び込んできた。


俺を招き入れてくれた、あの女性だった。


「いえ、こちらこそすみません…」

お茶を零さない様に体勢を整え、
女性は俺を見上げた。


「あの、何かございましたか?」

「俺の携帯に連絡がきた。…真影から」

「紘夜様から!? けれど、紘夜様は携帯電話をお持ちではないはずですが…」

「実織の携帯からだ」


実織からだと思って出ると、
予想外の、

馴染みがある、低い声だった。