素早くもといた辺りに戻り、呼吸を整える。


落ち着け、

落ち着いけ!


ただひたすら自分に言い聞かせる。



この与えられたチャンスは、
無駄に出来ない。



紘夜を、

助ける。


絶対。





「おい、」

凄みの利いた声が頭上でして、ビクッとなる。

「来い!」

大柄の男は、
私の腕を力任せに路地の奥へと引っ張る。


すると、
見慣れた紘夜の車が、見えた。