明るい通りに赤髪の男と牡丹の花の人が消え、
路地の奥に紘夜と大柄の男の姿が消えると、

辺りは私一人になり、静まりかえる。


距離にしたら、赤髪の男も大柄の男もすぐそこにいるけど、
姿が見えない。



今しかない。


そう思うと同時に、カラダが動いた。



紘夜の銃へ、と。



音を立てないように素早く拾い上げ、
スカートの後ろ腰に挟んで、制服のジャケットで隠した。


自分がこんなに機敏だとは思わなかった。

運動は好きな方だけど、

こんな時に、


さっきまで顔を上げる事さえ出来なかったのに、


でも、


今しかないチャンスだと、

そう、思ったから。