紘夜も負けずに睨み返すが、

そのカラダは紅く染まり、

殴った拳は力を失ったように、
だらん、と下がる。

肩で大きく呼吸を繰り返していると、
大柄のもう一人の男に両腕を後ろから捕らえられ、身動きがとれなくなってしまった。


「紘ーー」

叫びそうになる私の口を、
赤髪の男が掌で抑える。


「騒ぐなと言っただろう!」

近くで低い声が重く聴こえる。


紘夜とは違う、声。

獲物を捕らえた、獣の声。




紘夜とは違う、匂い。

血の匂いが、した。