† ー静音ー †
ピンポーン、ピンポーン
ドンドンドンドン!
絶え間無く鳴るチャイムと、扉を叩く音で、
私は2階から急いで玄関に向う。
装飾の施された重厚な扉を開けると、
そこには、
明るい色の髪が濡れた、背の高い男性が立っていた。
見覚えのないその来客に、私は少し警戒する。
歳の頃は20代半ば、
黒いライダースジャケットに、片手にバイクの黒いメットを持っていた。
やはり、見覚えがない。
「あの…どちら様で…」
私の問いが終わらぬうちに、
「実織はどこだ!」
凄い剣幕で、
その男のかたは私に近づいてきた。
その勢いに、思わず一歩後ずさる。
でも、
「実…織、様?」