冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

静かに、


冷たい地面を、
どこまでも紅く染めてゆくー…


「いーから、早くヤツを抑えろ。油断するな」

読まれていた。

あの二人が言い合っているうちに、走り出そうとしたが、

緋刃は、お見通しだった。



それもそうか、
ヤツは、

緋刃は、

俺が敵対する連中の中で、
唯一、



俺が負けたことのある男。